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2011年01月23日

護守一十達 十九話 アップ

不定期連載小説 
護守一十達 の十九話をアップしました。


今回は護守一十の世界観の説明も入れたのでちょっと長かったかな?
携帯の人、ごめんなさい。

m(__)m


護守一十達 十九話 『 老婆 』
http://mamoribitoprjct.seesaa.net/article/182013474.html


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2011年01月12日

護守一十達 十八話アップしました


第十八話 「 小さな武術家? 」をアップしました。


今回はアクションシーンがメインです!



暇な人は是非読んでみてくださいね。

第一話からの流れは 目次 からどうぞ。


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2011年01月11日

個人企画の小説 護守一十達

strtED2.png




やっっっっと、書き上げました。
難産で、悩んだあげく当初の予定のストーリーを変えてストーリー上重要な役割を持つ「 護符 」に関することをメインに。

とりあえず暇な人は読んでみてください。

最新は 17話 「 護符 」

それまでのストーリーは「 目次 」からどうぞ。

画像はただのイメージ。


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2009年09月09日

無題



アメーア王国
この世界で最大の軍事力と経済力を持つ国。

そして100年前、このジルグ国を戦争の果てに支配し、今も傀儡としている。
そのジルグ国の最南端に位置する小さなキナ島。

この小さな島にアメーア王国は大きな軍事拠点を構えた。
島の面積の約45%に軍の関連施設があるという規模である。


観光産業しか無かった島はアメーア軍人とその家族が落とす金と
軍に土地を提供する代わりに金をもらう軍用地成金とで少なからずにぎわう様になった。




しかしアメーア王国はことあるごとに理由をつけて他国へ攻め入り、その度に小さなキナ島には新たなアメーア軍人の無頼漢が現れ問題を起こしてばかりいた。


わずかな金欲しさに強盗をはたらく者。
渋滞する道路を軍用のプレート付きのスポーツカーに乗って
初心者マークの車を煽りながら猛スピードで走って行く者。
酔った勢いで歩いている人を殴る者


様々な事件がこの100年の間に起きた。
しかしその多くはアメーア王国が押し付けた条約によって
内々に処理され、キナ島の人々は泣き寝入りする他無かった。
キナ島の人々にとって守ってくれるはずのジルグ国政府はアメーア王国のいいなりで、キナ島の人々に【支援】という名目の金を与えて目の前の問題から
目をそむけるばかりであった。



そしてある事件が起きた。

 数名の屈強なアメーア軍人が、一人の少女を強姦し、そして殺して逃げたのである。




 泣いて逃げようとする少女を殴りつけ、野卑な笑いを浮かべながら代わる代わる犯すアメーア軍人達。
 そしてその欲望を満たすと逃げようとする少女を全員で殴る、蹴るの暴行を数十分に渡って加え続けた。
 やがて、少女は動かなくなった・・・・・・・・。











 その様子は、たまたま止まっていた車の中に置きっぱなしの観光客のビデオカメラに撮影されいた。






 その様子が一斉にネット上に流れ、ニュースにも取り上げられた。




 そしてキナ島の一部の人々が蜂起した。








 「キナ島悪夢の七日間」事件の始まりであった・・・・・・・・。




posted by たいじゅ@音森の館 at 01:35 | Comment(0) | TrackBack(0) | 小説?
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2007年03月09日

小説? 無題 11

       PART 01は コチラ    PART 02は コチラ    PART 03は コチラ
PART 04は コチラ    PART 05は コチラ    PART 06は コチラ
PART 07は コチラ    PART 08は コチラ    PART 09は コチラ
PART 10は コチラ    PART 11は コチラ    PART 12は コチラ

小説? 無題 11






 僕はこの為に生まれたんだ・・・・・・。




 ただこれだけの為に・・・・・。












 ライブも既に半ばにさしかかり会場の盛り上がりは相当な物だった。
なによりこのバンドの楽曲が最近大人気のwebアニメのメインテーマに使われたのと、そのアニメが映画としてオリジナルストーリーで公開されるということで話題になっていたからだ。


 そしてボーカルのMCの後でいよいよそのアニメのオープニングそのものが映像とともに流れだした。
それと同時にファンとおぼしき客が一気に歓声を上げる。
中には登場キャラクターのコスプレをしている人もいる。
印象的なイントロとともに会場が一つになっていく。
ライブバージョンとして少し長めのイントロは作曲したキーボードとギターのアドリブにキャラの台詞が散りばめられている。
ボーカルが客に刺激的な言葉を投げかけあおっていく。
そして焦らしに焦らしてメインテーマが始まった。


 この様子を見ていたスタッフ仲間は最初あぜんとしていた。
なんせこういう世界に免疫の無い人が多いから。
しかしこのアニメのことは積極的に見た事は無い物の、みんなが知っていた。
そのせいかファンでは無いにも関わらず俺も聞き慣れたメインテーマが流れたとたん鳥肌がたってしまったほどだった。
かっこいい・・・俺はついつぶやいてしまっていた。
もっとも大音量の演奏にかき消されて誰も聞いてはいないが。


 間奏に入り、各メンバーのソロが組み込まれたライブバージョンはかなりの完成度だった。
メンバーがそろってアニメのオープニングでキャラクター達と同じ踊りをすると、ファンの観客達も一緒に踊っていた。
サビでは大合唱だ。
そして、不意に演奏音が消えていった。
同時に会場が暗くなる。
俺たちスタッフもこれは聞いていなかった。

 こんな時に電源か照明のトラブルか!?
背中を冷や汗が流れ落ちる。
俺は慌てて電源関係をチェックに走ろうとした。
するとステージの画面にアニメのキャラクターが大写しにされた。

 なんだ?

あっけにとられる俺たちをよそ目に、そのキャラクターは何やら身振り手振りで声が出てないと訴えていた。
すると、メンバーの一人が会場の片隅でメロンパンを頬張っている女性をステージ上に引きずり上げて来た。
おいおい・・・・客イジりでこの場をしのごうってのか?
俺がそう思っていると、「なぁ〜にメロンパンなんか食ってんだよ!ほら、アンタが喋らないから声が出ないってキャラが言ってるじゃん!」とボーカル。

へ!?

一瞬間の抜けた俺たち

 すると「え?あ、ご、ごめんなさぁ〜〜い!」
と慌ててその女性が謝る。
「私じゃなくて、キャラに謝りなさいって」ボーカルに促されるままキャラに「ごめんね」と謝っているのはどうにも妙な光景である。


 「じゃ、じゃあお詫びに私も歌うから許して?」
と女性が言うと同時に演奏が再開する。


 ボーカルに促されて舞台の中央に立つ女性が歌い始めたその声は


あのキャラクターの声そのものだった。


キャラの声を担当している声優だと気づいた客達の盛り上がりはまるで気が狂ったかのようだった。
恐るべし、日本のアニメ・・・



 曲が終わり、女性が「みんな、またね〜」と手を振りながらステージを後にすると画面に映っているキャラも一緒に手を振りながら画面から消えていった。




 後半は一気にヒット曲を立て続けに演奏し、そのままライブは終了した。

アンコールを期待していた客からは明らかにブーイングが聞かれたが、この日のライブ限定のグッズにアニメとの特別限定コラボDVDが入っている事を知らせるやいなや喝采に変わった。
現金なものである。




 ライブ終了後、メンバーとスタッフでささやかな打ち上げが行われた。
撤収や片付けは翌日に行う事になっている。
俺たちはメンバー達と談笑しながら機材や趣味、今日の演出などの話題で盛り上がっていた。
 PAを担当した業者とマニアックな話をしながらYAMAHAのデジタルPA卓 M7CLをイジっていると幸せな気分にに浸ってしまい、つい我を忘れ時間というものも忘れてしまうのは業なのだろうか?


 夢中になってあれやこれやとM7CLをイジり回している俺にミヤちゃんが近づいてきてささやいた。




 「店長が消えちゃったよ・・・・・・・・?」















その時まだ彼は自らの宿命を知らずにいた・・・・。








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2006年10月07日

小説? 無題 10

       PART 1は コチラ     PART 2は コチラ     PART 3は コチラ     PART 4は コチラ
PART 5は コチラ     PART 6は コチラ     PART 7は コチラ     PART 8は コチラ PART 9は コチラ     PART10は コチラ new

小説? 無題 10






 僕はこの為に生まれたんだ・・・・・・。




 ただこれだけの為に・・・・・。













    「何故お前達がここにいる?」

黒服の男達に走り寄ると俺はそう叫んだ。


男達は俺を一瞥した。
が、すぐに踵を返して立ち去ろうとする。
俺は男の一人の腕を掴みもう一度叫んだ。


   「何故お前達がここにいるんだ?」
   「あの事件と何関わりがあるのか?」




   
しかし返事は無かった。
男に掴みかかった俺を他の黒服の男達が引きはがし、両の腕をねじり上げてくる。
すごい力で完全に腕の関節を極められ、身動きが取れない。



そのまま俺は車のボンネットに叩き付けられる様にして押さえ込まれた。




    「お前には関係無い。」

    「興味本位で首を突っ込まない方が身の為だ。」




    
男達のリーダーらしき男が冷たくそう言いながら手を振る。


すると俺を押さえ込んでいた男達が離れていった。





俺は何も出来ず、ただ黙って立ち去っていく男達の後ろ姿を見ている事しか出来なかった。









やがて葬儀場から店長が出て来た。
まだその目の周りは涙の後が残っていた。

    「店へ戻ろう」

店長はそれだけつぶやくと車へ向かって歩き出した。





 車中、店長は無言で外を眺めていた。




俺は声を掛ける事も出来ず黙ってハンドルを握っていた。



葬儀場に現れたあの黒服の男達。

なぜやつらはあそこにいたんだ?


葬儀場に他の葬儀の予定は無かったし・・・・。




やはり店長の友人の死と何か関係があるのか?



やがて雨が降り出して視界を覆い始めた。
ワイパーが静かにリズムを刻む中ラジオを付けると、 Liris の『月影』が流れていた。

   『届かない思いを』
   『空に散りばめて答えを探していた』
   『…重ねた思いではもう戻らない』


 この雨空はきっと店長の心の涙かもな・・・。
二人がいない今店長達の思い出はもう・・・。


曲を聴きながら俺はとめどない考えを止める事も出来ず
ただ車を走らせ続けた。














店に着くとミヤちゃんがおかえり、と声をかけて来た。
特に店の方は変わった事も無く、夜からのライブの準備の最中だった。





今夜のライブは同期ものを大量に使ったデジタルユニット二つによる合同ライブらしい。
メンバーが次々と機材を運び込み、準備を進めている。

Macintoshや自作のWindows機を始めとして昔懐かしいYAMAHAのQYシリーズも並んでいる。
それらをまとめる為に様々なアナログミキサーが設置されている。

そして更にYAMAHA製のデジタルミキサーこれも二台を贅沢にリンクさせている。

全体の音をまとめていくつかのサブ・ミックスをつくり、それらをPAヘ送るシステムらしい。
更にVJと呼ばれる人が更に自分の機材を持ち込んでいるので相当な数があることになる。
まるで往年のTMNetworkのステージだ。

しかしこの手のライブではシステム的なトラブルがつきものである。
この辺は彼ららもかなり慣れているらしい。
スタンドアローンのHDRを持ち込んでいる。
ステム・ミックスしたものを予め仕込んであるという。
トラブル時にはこのHDRからの出力に切り替えてライブを続けるらしい。

VJはパソコンベースのシステムを専用のミキサーでミックスしていくスタイル。
二台のMacBook Proを並べてラックに入れたHDから素材を出力。
手持ちカメラ以外に店内のアチコチに固定カメラも設置してある。
これらの映像とHD内の映像素材をいろいろ組合わせてステージ上の大型液晶モニターに映す。
かなり大掛かりなシステムだ。

店としてもこれほどの規模の機材を持ち込んでのライブは初めてである。
みんな興味津々でメンバーやその友人達の見ながらもそれぞれの仕事をこなしていく。

一通りのセッティングが終わった後、30分程休憩を挟んでリハが始まった。

それぞれの楽器や機材からの出音を確かめながら、同時にモニター用の音も確認する。
ちなみにメンバーの中心的役割でシステムのほぼ全てをまとめているリーダー。
彼のモニターシステムはこれまた持ち込みでオリジナルらしい。
通常のモニター返しの他に自分のシステムの各機材の出音も個別に確認出来る優れもの。
なんでも特注で作ってもらった物らしい。
しかも予備でまた新たに1セット注文したとか。

今回は彼らが知り合いのPA業者を呼んできている。
従って俺達店側のスタッフとしては結構暇ができる。
そこでアレやこれやと機材をいろいろチェック。
またそのPA業者が持ち込んで来たPA卓が最近人気のデジタル卓。
しかもYAMAHAのM7CLという人気機種。
否が応でも興味をそそられてしまう。



こんな時いつもなら誰よりも真っ先に興味津々で機材をチェックしにくる
店長・・・なのだが・・・・・。




店に戻ってからいくらか指示を出しただけでスタッフルームから出てきていない。





親友の死が相当こたえたのだろう。





みんなも気を使っているのがわかる。









俺はと言えばどうしてもあの黒服の男達の存在が気になって仕方が無かった。





やはり、やつらは店長の親友の死と関係があるのだろうか・・・・・・・・・・。







やがて開場時間となり外で待っていた客が次々と入って来た。









この夜、暗雲は濃く、雨は一層激しさを増していった。





まるでこれから起きる事を暗示するかの様に・・・・・・・・・。













その時まだ彼は自らの宿命を知らずにいた・・・・。








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2006年08月27日

小説? 無題 PART 9

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 僕はこの為に生まれたんだ・・・・・・。




 ただこれだけの為に・・・・・。















   「ただいまの所、必死の捜索にも関わらず搭乗客並びに搭乗員の姿は確認されておりません。

    この惨状から、生存者がいる可能性は非常に低いと思われます。」


 レポーターの説明とともにカメラがゆっくりと周りの様子を映していく。

折れた木々と未だに炎をあげて燃える草花。

もうもうと煙が立ちのぼり、辺りは日の光すら遮らんとしている。


    「機体の残骸はかなり広い範囲にわたって飛び散っているようで、その回収もままならない状況です。」


    「なお、当局では捜査本部を設置し・・・・・・・・」









 海外へ向かうジャンボ機の墜落事故のニュース。
その乗客名簿の中に店長の友人夫婦の名前があった・・・・・・。


先週、俺達の店で結婚式の二次会のパーティをしてこれから幸せな日々が待っていたはずの二人。

しかしその幸せそうな二人を乗せたまま、ジャンボ機は墜落してしまった。


店長はただ震えながらTVを見つめていた。





 事故の詳細は全く分かっておらず、目撃証言等からテロじゃないかという噂もとびかっている。

   「とつぜん火を噴いたんだよ、びっくりしたよ!」

   「煙を出しながら堕ちていったんだ!」

   「山に突っ込んでいってすごい音がしたんだ!」




 捜査本部では事故、事件両方の線で捜査を続けているという。
まだこれといった証拠となるものが見つかっていないので詳しい事は言えない。
この一点張りだ。

 飛行機事故で重要な証拠物件となるボイスレコーダーもまだ見つからないらしい。
ボイスレコーダーにはコクピットにいるパイロット達の全会話が記録されている。
何か異常があったのならそれについての会話が記録されているはずだ。
それさえ見つかれば捜査は急速に進展すると思われるため、警察や消防のみならず、地元の猟友会や自警団も加わっての捜索が続けられている。



 TVの画面に流れる搭乗者名リストの中に親友夫婦の名前を見つけた店長の表情は、すっかり血の気が引き今にも倒れそうだった。


 先週末にこの店で結婚式の二次会をやったんばかりだった。

あの幸せそうな二人が、今TVで流れている飛行機の墜落事故に巻き込まれた・・・・。


店に居たスタッフも皆息をのんでTVと店長とを見つめていた・・・・・・・。







 一月後。
被害者達の合同葬儀が行われた。
結局二人の遺体は見つからなかったらしい。
いや、二人だけではなかった。
搭乗客、飛行機のクルーの誰一人としてその身体の一部すら見つからなかったらしい。


 遺族達から責任と原因について激しく追求され罵声を浴びせられながら、しどろもどろになっている航空会社の社長や重役達。
ボイスレコーダーも機体の残骸もほとんど回収出来ないのでは原因の究明もままならないのは仕方が無いだろう。
しかし、そんなことで遺族達が納得出来るはずが無い。
泣きわめき、叫ぶ遺族の女性が航空会社の重役の一人に涙を流しながら掴みかかっている。
すすり泣きながら幼子の手を握りしめる母らしき女性。
両親を返せと航空会社の社長に殴り掛かろうとして周りに抑えられている高校生くらいの男の子。

犠牲者達の遺影が並ぶ壇上に向かって、店長はただひたすら涙を浮かべ手をあわせていた。


 俺はいたたまれなくなって店に電話すると店長に伝えて外へ出た。



 外には大勢の報道陣が押し掛け,無神経にも遺族達に感想を求めている。


   そんなこと、聞くまでもないだろうに・・・・・。

 その無神経さに苛立を感じながら俺は臨時の葬儀場となった市民体育館の裏にある駐車場へ向かった。

 店に電話し、帰るのはまだ遅くなると伝えて携帯を切る。

 近くの柵に腰を下ろし、一息ついたその時駐車場の片隅に黒服の一団がいるのに俺は気がついた。
その姿は喪服としての黒服ではなかった。
顔には全員サングラスをしていた。
まるでTVに出てくる悪人みたいだな、と思った瞬間俺の頭にあの時の事がフラッシュバックした。



 あの夜。

 ミヤちゃんを送った雨の夜。

奇妙な人影を見つけたあの夜。


あの時俺を襲ったあの一団だった。










その時まだ彼は自らの宿命を知らずにいた・・・・。








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2006年07月18日

小説? 無題 PART 8


 
    


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小説? 無題

PART 8











 僕はこの為に生まれたんだ・・・・・・。
 ただこれだけの為に・・・・・。















 結婚式の二次会だけあって、いい感じで酔いのまわった客達はノリもよく、パーティは大盛り上がりで順調に進んでいった。


 新郎、新婦の友人や親族による余興で楽しげな笑い声が響き渡る。
店長の友人である新郎は小さな会社を起こしてようやく軌道にのったところで、創立以来右腕となって働いてくれた新婦と8年越しの想いをようやく実らせたのだと言う。
それだけに新郎と新婦の表情は本当にうれしそうだった。







 パーティも中盤にさしかかった所で俺達のバンドの出番となった。
ボーカルの千夜ちゃんとキーボードのミヤちゃん、そしてベースで俺の友達のダイスケがステージに上がる。



 照明が暗転して暗くなる。




すぅっとスポットライトが千夜ちゃんの姿を浮かび上がらせる。
T シャツに薄紅の上着、そしてジーンズのシンプルな格好だけどスタイルのいい千夜ちゃんが着るとすごくかっこいい。
 



 優しく、そっと語りかける様な声で千夜ちゃんが歌う。
アカペラだ。



 ちなみにこの時はモニターからは一切ガイドになるものは出てないから、完全に千夜ちゃんの実力勝負だ。
それでも千夜ちゃんは音をはずす事も無く、しっかりとそしてしっとりと歌っている。
その歌声にミヤちゃんもダイスケも目を閉じて聴き入っている。

 
 歌詞は長い時を掛けて熟成していく愛を表したもので店長から新郎新婦の事を聞いた千夜ちゃんが自分で書き下ろしたものだ。


 千夜ちゃんの歌声が会場の中を静かに満たしていく。
聞いている人みんなが聞き惚れている。
アカペラでここまで魅了出来るのはそうそういないだろう。






 さりげなく千夜ちゃんが指で合図を送ってくる。
俺はそれにあわせてタイミングをはかり、足下のMIDIコントローラーのペダルを踏んだ。
その信号を受けてMacBook Proで走らせているLogicPro7が再生を始める。




 しずかにハイハットがリズムを刻み、押さえ気味に甘いトーンにしたバスドラがゆったりと鳴り出す。



 
 ダイスケのベースが千夜ちゃんの歌声をそっと支えるかの様に優しく響いている。




 千夜ちゃんのロングブレスの後、わずかなブレイクを合図に俺は愛用のギター Variax 700を弾き始めた。
 



 甘いアコースティックギターの音色を選びディレイをかけてある。
わずかにコーラスをかけて多めのリバーブでロングトーンを中心に曲の雰囲気を壊さない様に優しく、音を紡いでいく。




 同時にミヤちゃんもキーボードを弾き始めた。
エレピの音に基本的には俺と似た様なセッティングで曲の世界観を壊さない様にしている。

 部分部分でストリングスの音を重ねながら、時には千夜ちゃんのボーカルに重なる様に、時には俺のギターと対になる様に弾き分けている。






 新郎と,新婦の二人の8年に及ぶ愛の架け橋。


そしてこの日その架け橋が二人のエデン、楽園へと届いたことを祝福した愛の歌。









 その後俺達は結婚式等で定番のポップスを中心に演奏を続けていった。
途中で酔っぱらった新郎の友人達が乱入して千夜ちゃんと一緒に歌い出したのはにはちょっと困ったが、ま、無礼講ということで楽しませてもらった。
 PAオペレートしてくれた店長はいきなりの乱入でマイクのレベルがメチャクチャになり、その修正にかられて露骨にいやな顔をしてたのが印象的だったけど(笑)


 そしてしばらく歓談の時間があり、所々で友人や親族の余興が披露される。
漫才や手品などみないろいろと趣向を凝らしていてスタッフのはずの俺達も笑い転げる場面も多く、たまにはこんなイベントもいいなと俺は思った。




 そして終盤。
店長達のバンドの出番だ。


 始まった曲はオールディーズを中心としたもので、新郎新婦の好きな曲を中心に選曲したらしい。

 細い身体から絞り出す様に出るパワフルな怜君の歌声は新婦の友人達の熱い視線を集めていた。
どうも怜君は年上のお姉様方に好かれるタイプらしく、彼目当てに来る客もいたりするのは秘密だ(笑)
 
 

 何曲かは店長がドラムを叩きながらボーカルをとっていrた。
カラオケのモノマネ以外で店長の歌声を聴くのは初めてで意外な歌声にビックリした。
なんというか、シブい声だった。


 そしてラストでは新郎と新婦をステージに呼び、歌わせるという企みが決行された。
二人は慌てながらも、仲良く並んで目を合わせながら歌い出した。
アツアツな新郎新婦の様子に会場の皆から声が上がる。


怜君はというと・・・・・。
 なんとバイオリンを弾き始めた。
現役の音大生の怜君の専攻でもあるらしい。

 






 演奏が終わると、ステージ上の新郎と新婦にスポットライトが当たり二人の姿を浮かび上がらせる。

 
 いつのまにかkiroroの「未来へ」をミヤちゃんと怜君が弾き始めている。





 うれし涙に濡れた頬をぬぐいながら二人が感謝の言葉を述べる。


深々とお辞儀する二人に会場の皆から心からの拍手と声援がとんだ。











 店長を新郎新婦と共に三次会へと無理矢理送り出して、残る俺達は会場の後片付けを始めた。
細かいのは明日やることのいして、おおまかなゴミだけまとめて裏口に置いておく。
分別がやたらと細かくなって来て面倒だが仕方が無い。


 片付けの間、ミヤちゃんと千夜ちゃんは手伝いに来てくれた女性陣たちと結婚や恋愛の話に夢中になっている。


 早く片付けようよと急かす怜君を横目に女性陣は口だけは止まる様子が無い。
 
 俺とダイスケは苦笑しながらテーブルや椅子を片付けてスピーカーのアンプ、PA卓、その他の機材と電源を落としていく。

 今日のパーティの様子は据え付けと手持ちのビデオカメラで収録してあるのでダイスケが編集してくる予定になっている。
本業がビデオ編集の彼は自宅にも簡単な編集機材を揃えている。
いい記念になるだろう。



















 そして一週間後、俺達は新婚旅行に向かった二人の乗った飛行機が墜落した事をニュースで知る事になる・・・・・・・・・。





 

 








その時まだ彼は自らの宿命を知らずにいた・・・・。













 

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2006年07月09日

小説? 無題 PART 7


 
    



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小説? 無題

PART 7









 僕はこの為に生まれたんだ
 ただこれだけの為に













 一体あれはなんだったのだろう?
あの時、もう帰れないと覚悟してたのに。
今俺はこうして自分の部屋に居る・・・・・・・・。




電子音が鳴り響く。



   あ、起きなきゃ・・・・・。

   あれは夢だったんだろうか・・・・。




   
 ふと時計に目をやるともう夜の6時を回っていた。


   やばい、遅刻だ!!



俺はあわてて身支度を始めた。


 今日は店長の知り合いが結婚式の二次会の為貸し切りパーティをやるので普段の対バンライブとは違って気楽にやるらしい。
店長も自分のバンドを率いて演奏するらしいし、俺も2,3曲でいいからと言われて演奏する事になっている。



 携帯で店に電話して遅刻する事を伝え、急いで駅へ向かう。


 電車に飛び乗った瞬間ドアが閉まる。

 
 ほっとっして車内を見渡すと土曜日だからだろうか、けっこう空いていたので適当な席に座ってバッグからiPodとヘッドフォンを取り出す。
いつも気になる曲を入れて聴いているこのiPodは店長からの誕生日プレゼントで、裏側に俺の名前が彫ってある。


 手先の器用な友達がデザインしたオリジナルのカバーを被せてある上にヘッドフォンアウトの辺りを改造してあるとかで結構いい音がするのでとても気に入っている。


 ホイールを操作してお気に入りのプレイリストを選択すると再生ボタンを押す。
最近iTunes Music Storeで購入したギタ−インストナンバーが流れてくる。
 ヘッドフォンは音楽制作で愛用しているのと同じやつを外出用にもう一つ用意して使っている。
ただかさばるのが問題でいつも小さな袋に入れてバッグにしまっている。



 沖縄のゆいレールに始まった鉄道の導入は賛否両論いろいろあったが、結局利便性のよさに押され、既存のバスやタクシー会社等を始めとした様々な企業が共同出資して作った琉球鉄道合資会社が本当を南北に貫く南北線と、島の外観をぐるりと回る環状線を作った事で一気に県民の生活の足として不可欠な存在となった。

 ただの乗り降りの場所に過ぎなかったゆいレールの駅と違い主要な駅ではそれぞれ趣向を凝らし、駅自体が観光名所となる様になっている。
「海の中駅」はその名の通り海の中に駅がある。
三重の強化ガラスと防護ガラスを通して色とりどりの魚が舞う様に泳ぐその様は幻想的でさえある。
カラフルな色合いを強調する為に、ガラスには色が付けられておりカラーフィルターの役割を果たして通常なら青い世界を少しだけ原色に近づけてくれている。



 他の駅では、琉装の駅員が居る「琉球村前駅」やヤンバルクイナ等の天然記念物の人形のある「ヤンバル駅」、山の頂上に作られ、展望台にもなっている「山ノ上駅」等がある。
いずれもドラマや映画の撮影等によく使われている。
というよりそれも見越してデザインされているらしく、撮影等に便利な様に細かい所で工夫されているらしい。



ちょうど四曲程聴いた所で店の近くの駅に着く。
大急ぎで改札を抜け、階段を駆け上がる。

 外は土砂降りだったのが信じられない位晴れ上がっていた。
抜ける様な透き通った青い空。
白い雲をいくつも重ねた中を飛行機雲が尾を引く様につないでいる。
そこに薄く、白く月が浮かんでいる。
よく見ないと気がつかない程何気なく見えるその月は、まるで何かを見守るかの様に優しげに微笑んでいる様に見えた。



 俺が店の勝手口から飛び込むとちょうど店長が今日店を借り切っている友人と打ち合わせの最中だった。



   こら、遅いぞ!
   さっさと皆と一緒に準備やってくれ、30分後にはリハするから。




 店長が指す方を見ると、千夜ちゃんと怜君がパーティの関係者と一緒に飾り付けをしている最中だった。
俺は慌てて彼らの手伝いを始めた。
普段の店はライブハウスということで暗く、照明効果を生かす為に装飾もシンプルにしてあるわけだけどこの日は結婚式の二次会ということでかなり派手な飾り付けがなされていた。
ステージの上部にはデカデカと結婚おめでとうという垂れ幕が下がっている。




 飾り付けが一段落し、店長達が楽器を持ってステージに上がっていく。
祝賀ライブのリハーサルだ。

 俺はPA席へ入って機材のセッティングを始めた。
チューニングはとっくに店長達が済ませてあったので各楽器が立ち上がった卓を操作して手早くラフミックスを作り上げる。


 ボ−カルは怜君だ。
華奢な見た目とは裏腹にハスキーなハイトーンボイスはB’zの稲葉さんを思わせ、力強い歌声がかっこいい。

ドラムを叩く店長はいつにも増して楽しそうだ。
そのせいか、いつもより力が入ってるみたいだ。
強弱の付け方の幅が少し極端になっている。
俺はスネア・ドラムとトップ・マイクのチャンネルのコンプレッサーの設定を少し強めにした。
その分少しハイが落ちた気がしたのでHI-EQを2db程上げてみる。

 メンバーからのリクエストに応え、それぞれに合わせてモニターへの返りも調節し必要に応じてエコーをかける。


一通りセッティングが終わると全ての設定を保存する。
これはデジタルミキサーならではの強みだ。
今はYAMAHAのO2R96がメインの卓だが、店長は同社のM7CLに入れ替えたいと言っている。
やはりバランス調整で上げたいchに手を伸ばせばすぐ変更出来るというのは便利なので賛成なんだけど今の所予算面で辛くて実現は先の事になりそうだ(笑)



 店長が汗を拭きながらPA席にやって来て新たにセッティングを呼び起こす。
交代で俺はステージに上がり、機材のセッティングを始めた。

 俺のバンドはボーカルが千夜ちゃん。
力強く、よく通る声は音数の多い曲の中でも埋もれる事が少なくその存在感をしっかりとアピールしている。
キーボードにミヤちゃん、ベースに俺の友人のダイスケが加わってくれている。
ちなみにドラムは打ち込みだ。

 俺は買ったばかりののMacのノート MacBook Pro17"とMac Miniをラックにセッティングしてある。
オーディオインターフェースや音源、エフェクター等はラック内で全て接続してあるのでほとんど手間がかからない。

 Macが立ち上がる間に愛用のギター Line6のVariax700にRolandのGK-3Aを載せ、ギターシンセをスタンバイさせる。

 MacはMacBook ProにLogicPro7、Mac Miniにソフト音源やプラグインのエフェクターを立ち上げてある。こいつからミヤちゃんのシンセにもMIDIで信号を送って音色の切り替え等を一括して行う。

 ちなみに俺のバンドではPAの方でのバランス調整はほとんどしないで済む様に、LogicPro7で予めオートミックスを作ってある。
ライブ様に作ったバスで相対的にバランス調整をして卓側ではそれぞれの音を馴染ませるだけの状態にしてある。

 始めてのライブハウス等でフェーダーの上げ忘れ等のトラブルがよくあるのでこうして対策してあるわけだけど、この店用にセッティングを変えるのも面倒なのでそのまま使っている。 



 リハも一通り終わり、その他の余興の準備も完了し開場時間までつかの間の休憩をとることになった。
 みんなが談笑する中、 スレイライド 『Prty-Go-Round』が流れていた。











その時まだ彼は自らの宿命を知らずにいた・・・・。













 


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2006年07月03日

小説? 無題 PART 6


 
    



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〜 小説 無題 〜

PART 6







 僕はこの為に生まれたんだ・・・・・・。
 ただこれだけの為に・・・・・。









 その館は一見、ただの古びた洋風の建物だった。



 所々ひび割れた煉瓦で埋められた壁には蔦が伸び、その古さを物語っている。
玄関らしき場所へたどり着くまでにおよそ5,6分だろうか。
庭園の様な中をクネクネ曲がりながら車は走り続けた。
所々に神話に出てくる様な怪物や、神、英雄とおぼしきオブジェが置いてある。


 そして、たまに鋭い眼光(実際にはサングラスで隠されて見えていないけど、俺にはそう感じたんだ)を向けてくる黒服の男達。
こんな土砂降りの中、よく平気なもんだ・・・・・。

 どいつもこいつもかっぷくがよく、明らかに鍛えられている。
映画に出てくる様な物騒な武器は持っていないが、警棒を全員が所持しているらしい。
やはり電気ショック式なのかな?



 
 やがて車は玄関らしき前で停車した。

建物の見た目相応に大きく、広い。
ギリシァ風の飾りを施した柱に蔦が絡み付き、いかにもな雰囲気を醸し出している。
重そうな鉄の扉の前には二人、門番らしき黒服の男達が立っている。
その傍らには3匹の犬、ドーベルマンだ・・・・・・パターンだなと俺は苦笑しながら思った。
俺を釣れて来た男達のリーダーらしき男が門番らしき男達となにやら言葉を交わすと門番らしき男は警備用のカメラに向かって合図を送る。
重そうなきしみと共にゆっくりと扉が開く。
中には豪華な装飾が施された空間が広がり、床には高そうな絨毯が敷かれている。
そしてまた黒服の男達。
いったい何人居るんだかこいつらは・・・。
そしてその男達の案内で更に奥の扉が開き中へと導かれていく。


 そこで初めて俺は自分の身体を縛り付けていたロープを解かれた。
まだ若干しびれは残るが、気になる程ではない。
しかし長時間縛られて狭い車中に転がされていたせいで体中が凝って仕方が無い。
軽く首を振ったり肩をもんだりしながら回りを見渡す。


 黒服の男達に囲まれて、品のいい髭を蓄えた初老の男が出て来た。

 「初めまして。 
  私はここの執事で條崎と言う。
  君をここに呼んだのは君の素晴らしい体術に興味を持ったからなのだが・・・。
  部下が失礼な事をしてしまってすまなく思う。 
  ちょっと立て込んでいて部下も混乱していた様でね。
  せめて、お詫びという事で食事でもしていってくれ。
  後は部下に自宅まで送らせよう。」

 條崎はそう言うと部下に何やら指示し、それから俺を部屋へと誘った。



 招かれた部屋は豪奢な調度品が並ぶ大きな部屋だった。
映画に出てくる様な大きなテーブルにつくとメイド達が次々と料理を運んで来た。
和、洋,中華に加えて俺の大好きな琉球料理まで並んでいた。
考えてみれば昨夜の例のゴタゴタから何もまとのに食っていない。
腹の虫が必死に補給を要求して鳴きまくっている。
俺は最初毒でも盛られているのではないかと不審に思っていたのだが、條崎の様子からそういった雰囲気は感じられなかったのと空腹感に負けて食事に手を伸ばす事にした。
 
 どのメニューも腕のいいコックが作ったのだろう、不味いものが一つもない。
俺は本能のままに胃を満たす事に専念した。

 たらふく食べた後で食後のサンピン茶を飲みながらこれまでの経過を思い出している俺に條崎が質問してきた。
 
  君の使う体術は最近流行りの総合格闘技なのかね?

よく聞かれる質問だ。
まぁ、間違いではないが少々違う。
俺は爺さんから聞かされた事で、他言してもいい範囲の事だけをかいつまんで説明した。
いろいろ細かい事を省いて言えば、中国派生の諸武術を学んだ祖先が編み出した武術で、その後沖縄の空手(唐手)の源流とも深い関わりを持ちながら他の格闘技や武術からもさまざまな要素を取り入れながら進化して来た。
一般のと違うのは、武術としての側面を色濃く残しており暗器を含む武器術もあること。
そして技によっては一瞬で相手を絶命させる様な技、中国武術で言う絶招も含まれている事だろう。
それに応じて逆に治療術のようなものも存在する。

 祖先の中にはかつて中国の革命の中でその技をもって十数人もの屈強な兵士を一人で倒したという逸話を持つ人も居るらしい。
もっともそれが本当かどうか俺にはよくわからないが、子供の頃は爺さんから聞かされるそういった話にワクワクさせながら自分もそのくらい強くなりたいと思い修練に励んでいたものだ。

 條崎は俺の話に興味深げに耳を傾けていたが、やがて部屋に入って来た部下の一人から何やら耳打ちされると所用で出かけなくてはならなくなったと言い食事会は終了となった。





 條崎の部下が運転する車でアパートまで送ってもらった俺は、部屋に戻るとベッドに倒れ込む様にして眠りについた。










その時まだ彼は自らの宿命を知らずにいた・・・・。













 


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2006年06月25日

小説? 無題 PART 5

 



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 僕はこの為に生まれたんだ・・・・・・。
 ただこれだけの為に・・・・・。








 あれ?
泣いてる?
子供・・・・・?
ああ、これ俺だ・・・・子供の頃の俺。
そうだ、いつも泣いてたっけな・・・・・。
近所のいじめっこ達にいじめられて・・・・・・いつもからかわれて・・・・・そして泣いて・・・家に帰ってた・・・・・。
はは、なつかしいな・・・・。



 あ、爺ちゃん・・・・そう怒るなよ・・・・。
分かってるよ、今度は男らしくやり返すからさ・・・・。
大丈夫だよ。
もう強くなったんだよ・・・爺ちゃんが鍛えてくれたんじゃないか・・・・・。
大丈夫だって・・・・・・。


 ほら、やっつけた。
もう泣き虫だったあの頃の俺じゃないんだよ、爺ちゃん。
安心してくれよ。






 ああ、中学・・・・高校・・・・・。
そうだったな・・・。
いつでも、どこでもこんなやつっていたな・・・。
飽きもしないで、自分よりも弱そうだと思ったらすぐチョッカイをかけてくる・・・。
うっとおしいな。
いつも群れてなくちゃ何もできない臆病者のくせに・・・・仲間が居ると調子に乗って・・・。
ほらはじまった・・。
なにかあるとすぐにナイフ持ち出す・・・。
でもそれって通販で売ってるやつだよな・・・・^3,000だっけ?
バタフライナイフ・・・くすくす。

 ばかだよな・・・・見せびらかすだけならほっといたのに・・・。
そんなので襲ってくるからだよ・・・。
そんな大振りじゃ当たりっこないって。
ホラ、簡単にかわせる。
どこ見てるんだ、こっちだって、こっち。
バカみたいに振り回してもだめだって。
ナイフは斬りつけるもんじゃないって。
第一そんなちっこいナイフじゃそうそう致命傷にならないってのに。

ん、なんかバカバカしくなって来たな・・・・終わらせるか。
よっと。
あ、ごめんよ。
ナイフだけ蹴り上げるつもりが手首、折れちゃったね。
でも君が悪いんだよ?わかってるよね?
あ、しつこいな。全員で俺一人に?
仕方が無いな・・・・・。

 はぁ、もうこれで懲りてくれよな。
お前ら相手にしても面白くも何ともないし面倒なだけだから。








 あ、これ懐かしいな・・・・。
爺ちゃんが昔お世話になったっていってた道場に出稽古にいった時だ。
みんな強かったな。

 金城さんだ。
っと、この人の突き早いんだよな。
ジャブなのにすごく重い。
まともにくらったらすぐ終わっちゃう。
そう、ワンツー・・・・。
それを内側へ受け流して、両手が交差する様に上から片手で押さえつけて
踏み込んでもう片方の手で突く!
あ、かわされた!
さすがに強い!
っと、押さえた手ごと振り払われた?
力すごいな・・・・そりゃそうかこんだけでかいもんな。
身長190ちかいんだっけ?
顔面はそうそう届かない・・・・そう思ってるよなやっぱり・・・。
じゃ、いくよ?金城さん!
身体を左右に振って、一気に飛び込む!
顔面に向かって突く!
よし、受けに来た!
ここで一気に身を沈めて横へ回り込む!
一瞬だけど遅れてるよ金城さん!
こっちを向こうとした所にローを入れて・・・
よし、下に意識がむいた!
ここで跳び後ろ回し蹴りだ!!



 ふぅ、これで3対3でようやくあいこか、やっぱり強いや金城さんは。
ん、次は古波蔵のヤツか。
こいつ俺と同じ年だっけ。
体格もほとんど同じだったな。

うわ!
いきなり飛び蹴りかよ!
って、痛てぇ!
着地した瞬間そのまま跳び後ろ蹴りってどういう身体能力してんだお前は!
この!
っておい、後ろから突いてるのになんでかわせるんだよ!
この、なんだよその表情!
なめてんなよ、蹴りくらい俺だって!
そら!
右のローから左のハイ!
あ、この!
笑いながらかわしやがって!
あったま来たぞ、このやろう!
ふっ!
左右の突きで詰めて、軽くローで動きを止める!
そら、カットしてきた!
片足になった時点で動きが止まってんだよ!
くらえ!
前蹴り!!!
十字受けで受けたのはさすがだけど・・・。
そのまま手で交差した両腕を押さえつけてっと・・・
ほら!顔面がら空き!
正拳一発!
痛がってる場合じゃないぞ!
ここで背負い投げだ!
おらぁ!!!

どうだ、俺打撃だけじゃないんだぜ?
爺ちゃんに鍛えられてんだからな・・・!






なつかしいなぁ・・・・。

あ、見てる。
沙耶香ちゃんだっけ・・。
ここの道場主の娘さん。
相変わらず可愛いな・・・・・。
あまり話した事無いけど・・・・怪我したときなんか手当てしてくれてたっけ。
今どうしてんのかな・・・・・。










ん・・・・・・・。





夢・・・か・・・・・・。






揺れてる?

ここ・・・は・・・車の中?

誰だ・・・・こいつらは?

あ・・・そうだ、こいつらに襲われたんだっけ・・・。

でも、なんで・・・?

身動きが取れない・・・・身体がしびれてる・・・・?

こいつらどこへ行こうってんだ・

俺をどうするきなんだ?・・・・・?





外は相変わらず激しい雨が視界を遮っている。
車はそのまま土砂降りの中を走り続け、いつしかデコボコした山道へと入っていった。
その間、、男達は無言で俺には興味が無いかの様に一瞥すらしない。
なんとか逃げる手だては無いかと回りを見渡したが、身体を縛られ、しびれも残った身ではどうしようも無かった。
俺は忌々しい思いで男達を睨みつけるのがやっとだった。


 ったく、なんだって俺がこんな目にあうんだよ・・・・!









その時まだ自らの宿命を知らずにいた・・・・。








 




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2006年06月11日

小説? 無題 PART 4

 



PART 1は コチラ    PART2は コチラ    PART 3は コチラ    PART 5は コチラ







 僕はこの為に生まれたんだ・・・・・・。
 ただこれだけの為に・・・・・。












 雨が視界の全てを満たしていた。
空は満面灰色の雲で覆われ,見ているだけでも心まで灰色になってしまいそうになる。
タクシーのカーラジオからは スレイライド 『月の輝く夜に』が流れている。
  
   こんな天気じゃ月の輝く夜に踊るってわけにもいかないか・・・。
   そういえば彼らのライブ最近行ってないな・・・・。
   久しぶりに行きたいな・・・ミヤちゃんも好きみたいだし、誘ってみようかな。

そう考えながら、彼はどんよりとした空をうらめしそうに見つめていた。

  お客さん、この辺でいいのかな?
  
  え?あ、はいここでいいです。
  ありがとうございます。
 
 運転手の声にはっとなった彼は慌てて答えるとお金を渡し、ミヤちゃんを抱きかかえてタクシーを降りた。
相変わらずスヤスヤと寝息を立てているミヤちゃんをアパートの前まで運んで、声をかけて起こす。

   ミヤちゃん、ミヤちゃん、着いたよ。
   ほら起きて?

何度目かの声かけでようやくミヤちゃんが目を覚ました。
眠そうに目をこすりながらぼぉっとした表情で彼を見つめる。

  ん?あれ?ココ、どこですかぁ・・・・・ふぁあ・・・・ん?
  あれ?ここ私のアパート?

  そうだよ、君の部屋の前。
  ほら、早く部屋に入って暖まらないと。
  濡れたままじゃ風邪ひいちゃうよ?

 彼の言葉に慌ててバッグの中から鍵を取り出すミヤちゃん。
彼は彼女が部屋に入るのを見届けてから立ち去ろうとしたが、ミヤちゃんに服乾かしてから買って下さいよと呼び止められてしまう。
一瞬迷ったがその誘いを断り、また明日と答えて彼は雨の降りしきる中を走っていった。
どっちみち雨が止んでない以上また濡れてしまうんだし、こんな時間に女の子の部屋にお邪魔するわけにもいかないもんな、と心の中でつぶやきながら雨宿り出来そうな場所を探す。

   通り沿いならまたタクシーを拾う事も出来るだろう。

 そう考えながら彼は雨の中をフラフラと歩いている人影に気づいた。
その人影は車道と歩道の境のギリギリの所をさまよう様に歩いている。
酔っぱらっている様にも見えるがどこか変である。
夜中、雨のカーテンのせいもあってよくわからないが妙な違和感が彼を捉えていた。
目を凝らしてその人影を見てみる。
 
 と、目が合った。
二つの目が銀のカーテンの向こうで彼を見つめていた。
しかしその人影は向こう側へ向かって歩いている。
後ろ向きに、歩いている・・・・?
彼は視線を動かしその人影を上から下へと見てみた。

   違う!

 後ろ向きに歩いているわけではない!
その人影は首だけをこっちに向けて歩いていたのだ。
そんな馬鹿な・・・・彼は見間違いだと自分に言い聞かせながらもう一度その人影の顔を見た。
その人影はニヤリと彼に笑いかけると首を回転させてだっと走り出した。
人間業とは思えない尋常ではない早さで走り去っていく人影を見た彼は必死にこれは夢だと自分に言い聞かせていた。

   そうだ、これは夢だ・・・。
   こんな馬鹿な事あるはずがない・・・・。
   これは夢だ・・・。

 信じられない光景を目にした彼はその場から動く事も出来ず、必死に自分を落ち着かせようとしていた。
そんな彼の側に猛スピードで走って来た車が2台、けたたましいブレーキ音と共に水しぶきを上げて止まり、黒スーツ姿の男達が数人降りて来た。
全員夜だというのにサングラスをかけている。
相当鍛えているのか発達した筋肉質の身体がスーツのシルエットからも見て取れる。

   おい、お前!
   あれを見たな!?
   どこへ行った!?
   答えろ、隠すとためにならんぞ!

 ドスの聞いた声で男達が次々と詰問してくる。

   なんなんだ、コイツら?
   さっきのあれと関係があるのか?
   
 男達の質問に彼は慌てて人影が走り去っていった方向を指差した。
数人がその方向へ走り出すと、残った男が携帯電話でどこかへ連絡していた。

   はい、ええ、そうです。
   すみません、でも今目撃情報を得ましたので何人かに引き続き後を追わせています。
   はい、は・・・・・まことに・・・はい、申し訳ございません・・・。
   必ずあれを確保いたします、はい・・・。
   は、目撃者は若い男が1人、はい、そうです・・・。
   はい、わかりました。
 男は携帯電話をスーツにしまうと彼に向かって低い声でただ一言、同行してもらう、とだけ告げた。
同時に数人が彼の回りを取り囲む。

   え?同行って・・・・・え?

   あれを見られたからにはこのまま返すわけにはいかんのでな・・・・。
   その男を車に乗せろ!

 号令とともに男達が彼につかみかかった。
な、なんだこれ?
なんで俺がこんな目にあうんだ?
俺が一体何をしたというんだ?

  やめろ!離せ!

 必死に抵抗するが両腕をつかんだまま男達は彼を引きずっていこうとする。

   こいつら、どうあっても俺を連れて行くつもりか・・・・・。
   ふざけやがって!

 彼は軽く息を吸い込むと自分を引きずっている男達の間に入る様に前に踏み込み、腕を前へ折り畳む様に身を縮ませた。
 次の瞬間片方の腕を大きく振る様にしながらその方向へと身をねじる。
あわてて押さえる手に力を入れる男達。
その瞬間彼は反対側の手を同じ様に振る様にしながらまた身をその方向へとねじる。
それを2,3回繰り返すと男達は彼を押さえようと更に全身に力を入れた。
 その刹那、彼は両の腕をスライドさせると手のひらを開きながら両手を回転させながら勢い良く内側から回していった。
 その勢いで彼を掴んでいた男達の手が弾かれる。
そして彼は素早く腰を落とすと片方の男のみぞおちに掌底を打ち込む。
と、その男のスーツを掴み引っ張りながら体勢を立て直す。
そのまま振り回し、もう一人に向けて放り出す。
 男は慌ててそれをかわし、距離をつめてくるのと同時にジャブを繰り出し彼を牽制しながらローキックで動きを止めようとする。
 彼はそれを一歩引いてかわすとすぐに男の蹴り足の膝裏に踏み込み、腕を押さえながらアゴに手をかけて後ろへと投げ飛ばす。
受け身を取れないまま硬い歩道のアスファルトに頭から叩き付けられる男。
 次の瞬間、さっき掌底を打ち込まれた男が罵声とともにタックルしてくる。
それを冷静にかわすと彼はその男の足を素早く払った。
 男は倒れ込むと同時に受け身をとった。
それはさすがだが、しかしそれも彼の計算のうちだった。
男が立ち上がろうとした瞬間、彼は打ちおろす様に蹴りを男の顔面に打ち込む。
 男が動かなくなったのを確認すると、彼は素早くその場から走り去ろうとした。
その刹那、彼の全身を激痛が走った。

 視界が揺れ、目の前がぼやけていく。
フラフラと後ろを振り返ると、バチバチっと放電している警棒型スタンガンを手に構えている男が視界に入った。

   この野郎、フザケやがって・・・・・。
 
 彼は拳を固めてその男の方へ踏み出すと、そのまま崩れる様に倒れていった。


   手こずらせやがって・・・・・。
   おい、コイツを車に乗せろ。
   ノビてるその役立たずどもも一緒にだ。
   先に戻って御前に報告しなきゃならん。
   
 リーダーらしき男の声を聞きながら彼は意識が遠くなっていくのを感じた。









その時彼はまだ自らの宿命を知らなかった・・・・。





 



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2006年05月29日

小説? PART 3

  



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 僕はこの為に生まれたんだ・・・・・・。
 ただこれだけの為に・・・・・。







   「遅くなってすまん、いろいろと回ってたらすっかり電車が無くなってしまって、タクシーを捕まえるのに時間食ってしまったんだ。」

 そう言いながら入ってきたのは店長だった。

   「もう、店長ったらぁ〜、もう少し遅れても良かったのにぃ!」

 ふてくされたようにミヤちゃんがボヤくのを見ながら店長は苦笑しながら俺に問いかけてきた。

   「おや、お邪魔だったかな?」
    「いえ、そんなことは・・・」
    「ありまくりですぅ!」

 彼の言葉を遮る様にミヤちゃんがくってかかる。
彼はそれをなだめながら店長に今日の事を話した。

   「そうだったのか、すまなかったねご苦労様」

 工藤さんの怪我も大した事が無い事が分かって安心したのか、店長は安堵の表情でタバコを取り出し、火をつけた。
店長の愛用のタバコはコロコロ変わる。
タバコを買う為にパシリにされる事の多いアルバイトの怜君はころころ変わりすぎて銘柄が覚えきれないといつもボヤいているほどだ。

   「今日はさすがにこんな時間だし、タクシー使っていいからミヤちゃんを送って帰ってくれるかな?私は今日の売り上げとかチェックすることがまだあるから。」

 店長のその言葉に満面の笑顔でミヤちゃんがうなずきながら彼の腕を抱きかかえてドアの方へと歩き出す。

   「店長太っ腹〜〜〜〜、タクシーゴチです♪」
   「え、あの、えっと・・・店長、それじゃお疲れさまでした」

ミヤちゃんに引っ張られる様にドアから出て行く彼を見送りながら店長は次のタバコに火をつけ始めた。

   「まいったな・・・・・。普通の喧嘩沙汰ならまだしも軍人か・・・。
    しかも口走ったという言葉・・・・・。
    その軍人は知ってるという事なのか・・・あの事を。
    そして思わせぶりな刑事・・・・・・。

    厄介な事になりそうだ・・・・。」

 激しくなった雨が窓を叩いていた。
通りには人かげもほとんど無く、車もほとんど見かけないほどだった。


   「あ、タクシー!! こっちこちい!!」

 大声で手を振りながらミヤちゃんがタクシーを止めようとするがなかなか止まってくれない。
飲屋街の近くなのですぐにタクシーをつかまえきれると思っていたが、そうは甘くな無かったらしく、この大雨でほとんど乗車済みになっているらしい。
軒下で雨宿りしてはいるものの、時折風にあおられて吹き込む雨が身体を濡らしていく。
深夜なのもあってかなり肌寒くなってきた。
   
   「っくしゅ!」

 寒さの為かミヤちゃんが身体を縮こませながら震えている。

   「大丈夫?ミヤちゃん?
    これ羽織っておくとあったかいよ。」

 彼はそう言いながら自分が着ていたジャケットをミヤちゃんの肩にかける。
   
   「あ、ありがとうございます・・・・。」

 頬を赤らめながらミヤちゃんが小さな声でつぶやく。
こんな表情も見せる事があるんだなと思いながら彼は微笑みながらミヤちゃんをみつめていた。

 やがて一台のタクシーが止まったので急いで乗り込むと、彼は行き先を告げるとかわいい寝息を立て始めたミヤちゃんに気づいた。
さすがにいろいろあった上にこんな時間まで起きていたので眠気に勝てなかったようだ。
彼は自分にもたれながら寝ているミヤちゃんの肩を抱きながら今日の事を思い出していた。
 暴れた米軍人。
そして事件の担当らしい刑事。
刑事はなにやら気になる事があるらしいがそれが何なのかは分からない。

 雨が激しく窓を叩く中、カーラジオからは音楽が流れている。
Octopus Daughter「月の河」だ。
そういえば以前メジャーからアルバム出したって言ってたな・・・・。
今度のイベントはファンタジーミュージック中心でいくのを提案してみるかな・・・・。
そんな事を考えながら彼は降り続く雨をみつめていた。







その時まだ彼は楽しい毎日を送っていた。
自らの宿命を知らずに・・・・。






 



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